2005年の岡山大学の入試問題にレーザーと白熱電球に関する問題がありました。
レーザーについて、知らなくても解ける問題でしたが、
レーザーと白熱電球について、簡単に説明しておきます。
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光源のちがい
電球から出る光は、ジュール熱によるものです。
電流が流れると、フィラメントに抵抗があるため、発熱し、
熱とともに光がでます。
この光の中には、いろいろな波長(いろいろな色)が含まれるので、
あわせて、白色光に見えます。
また、拡がってすすみ、位相がそろっていない(同じ振動をしていない)ので、
干渉装置に使うことはできません。
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レーザーについては、しくみは知らなくても聞いたことはありますね。
もう、いろんな所で使われていて、「科学史上最も大きな発明はレーザー」といわれるぐらいです。
アインシュタインは「光はh×(振動数)のエネルギーを持つ粒子である」と言いました。
光のエネルギー=h×(振動数)=h×(光速)/(波長)
ですから、光速は一定なので、光のエネルギーの違いは光の色の違いです。
レーザーのしくみは、原子構造と関係があります。
高3で、原子物理のところで学びますが、
原子核を回る電子の軌道には、エネルギーの違い(エネルギー準位)があって、
電子はエネルギーをもらうと、外側の高いエネルギーの軌道へ移ります。
反対に内側のエネルギーの低い軌道に移るとき、その差の分のエネルギーを放出します。
このエネルギーは光となって(光子が受け取って)出ます。この光がレーザーです。
原子の種類によって、この軌道のエネルギー差は決まっているので、
決まった波長の光(単色光)が出ます。
電子が軌道を移って、光を出すことは、他の電子の移動も誘導するので、
いっぺんに、ドッと(?物理の表現としてどうかなー)起こるので、
この光(レーザー)は位相がそろい・・同じ振動で・・→これを干渉性(コヒーレント)という
拡がらずに同じ方向へまっすぐ進みます。→これを指向性という。
レーザーを出すものには、固体、液体、気体、半導体があります。
このHe-Neレーザーは、気体のヘリウムとネオンを使ったレーザーで、
建築、土木の測量に使われています。見たことある?
直線性の強いレーザーなのです。
アポロ11号が月へ言ったとき、月面の「静かの海」にレーザー反射鏡を置いて帰りました。
地球の天文台から、レーザーを送り、帰ってくるレーザーの時間を測定して、
月と地球の距離を1m以下の精度で測定しているそうです。
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半導体を使ったレーザーです。
半導体ダイオードについては、高3の人は知っていると思いますが、
P型半導体(電子の入るホールという穴がある)とN型半導体(自由に動ける電子がある)からできていますが、この電位差について考えたことがありますか。
P型半導体の方が電位が高いですね。
電子の方から見れば、N型からP型のホール(穴,正孔)に入るとき、
エネルギーを失います。このエネルギーが光になって放出されます。
これが半導体レーザーです。
半導体の種類によって、P型とN型のエネルギー差(エネルギーギャップ)は決まっているので
決まった波長の光が出ます。
半導体レーザーは、実ににいろいろな所に使われています。
まず、通信。光ファイバーの中をこのレーザーが進んでいます(表現微妙)
CDやDVDの読み取りや書き込みに。。
買い物をしたとき、レジでのバーコードリーダーに。・・・・。
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☆★ひとこと★☆
できるだけ簡単に、簡単にと思って書いたつもりなのですが、
最後まで読んでこれましたか。
ちなみに図は私自作であります。。
レーザーは上に書いた利用法の他に、医療(レーザー治療)、やレーザー加工、
そうそうプリンターにも使われています。
レーザーを高校の物理でなんで教えないのだろう???と思うくらいです。
詳しく知りたい人は、青文字をクリック。。
☆
「レーザー AtoZ」 レーザー加工学会
☆
「レーザー」 -ナノエレクトロニクス
★ 『光と光の記録』 安藤浩司 産業開発機構 2500円
私が持っていますので、借りて読んでください。